PowerPointの録画はスライド1枚ごとに保存されるため、途中で言い間違えても、最初からやり直す必要はありません。これから録るなら1枚ずつ区切り、すでに録ったなら直したいスライドだけを上書きできます。
この記事では、元のファイルを残して1枚ずつ録る手順、途中の1枚だけを録り直す方法、記録を消すときの注意点を説明します。録り直したあとの声と切り替えを確かめ、MP4に書き出して最後まで再生するところまで進めます。
途中の1枚を直すために、全部を録り直す必要はない
言い間違えた1枚だけを、あとから録り直せます。PowerPointで録音した声は、スライド1枚ごとに別々に保存されるためです。3枚目で数字を言い間違えたなら、直すのは3枚目だけで、1枚目と2枚目の声はそのまま残ります。
声がどこに入っているかは、画面で見て分かります。録音できたスライドの右下には、小さなスピーカーの印が付き、クリックするとその1枚の声だけを再生できます。
これは、そのスライドに埋め込まれた音声ファイルの印です。「表示」タブの「スライド一覧」を開けば、各スライドの下に記録された秒数も並びます。10枚の資料なら、声も秒数も10枚分がそれぞれ独立して入っている状態です。
だから、直したい1枚を選んで、そこだけ新しい声で上書きできます。Microsoftの公式ヘルプにも、プレゼンテーション全体だけでなく1枚のスライドを記録できる、録画を変えたいときは1枚以上を再録画できる、と書かれています。追加のソフトを買う話ではなく、PowerPointの標準の機能です。
すでに通しで最後まで録ってしまった場合も同じです。通しで録ったからといって、1本の長い音声が資料全体にかぶっているわけではありません。進みながら1枚ずつ記録されていくので、あとから3枚目だけを抜き出して直せます。
教材を1枚ずつ録って最後に1本にまとめたい、という相談も知恵袋にあります。最後にPowerPointから動画として書き出せば、10枚分の記録が順番につながった1本になります。
消える場合が2つあります。1つは、記録を消す操作で「すべてのスライド」を選んだときです。現在のスライドを選べば、その1枚だけが対象になります。もう1つは、直したいのが1枚の言い回しではなく、講座の流れそのものだったときです。3枚目の中身を別の話に差し替えると、「次に手順を3つ説明します」と言った2枚目の声が、次の画面と合わなくなります。この場合は、合わなくなったスライドも録り直しに入ります。
スライドの順番を入れ替えただけなら、公式の説明では録り直しは要りません。直したいのが1枚の説明なら、その1枚を上書きすれば済みます。講座の組み立てを変えたときだけ、残すスライドと録り直すスライドを数え直すことになります。
先に分けるのは、「1枚ずつ録る」と「録ったあと1枚だけ直す」
手を動かす前に決めておきたいのは、これから声を入れるのか、すでに入っている声を上書きするのかです。どちらも作業は「この1枚を録る」ですが、始める場所が違います。ここを決めずに押すと、うまく録れていたスライドから上書きが始まります。
PowerPointの録画には、始める場所が2つあります。「先頭から」と「現在のスライドから」です。「スライドショー」タブか「記録」タブにある録画ボタンの下半分、下向きの矢印を押すと、この2つが出てきます。名前のとおり、前者は1枚目から、後者はいま画面に出ているスライドから始まります。
まだ声が入っていないなら、1枚ずつ録る進め方になります。1枚目を出して録り、話し終えたら停止して録画画面を閉じる。次は2枚目を出して、また「現在のスライドから」で録る。この繰り返しです。最後まで一気に進める通し録りと違い、1枚ごとに区切りが入るので、言い直したくなったその場でやり直せます。台本を見ながら教材を作るなら、こちらのほうが気は楽です。
すでに声が入っていて、3枚目だけ言い直したいのなら、3枚目を画面に出してから「現在のスライドから」を選びます。録り終えたら、次のスライドへ進まずに停止します。学会向けの録音マニュアルにも、再録音のときはスライドを進めず停止して画面を閉じる、と書かれています。次へ進んだ先も、そのまま新しい記録で上書きされていくためです。
つまずき方は、だいたい2つです。1つは、3枚目を直したいのに「先頭から」を選んでしまうこと。1枚目から録り直しが始まります。もう1つは、1枚だけ直すつもりで録り始め、話し終えたあとも次へ次へと進んでしまうこと。4枚目、5枚目の声が、無言のまま上書きされていきます。どちらも、始める場所と止める場所を決めていれば起きません。
画面の見え方は、お使いの版で少し違います。「記録」タブがある版と、「スライドショー」タブから開く版があり、選択肢の名前はどちらも同じ趣旨です。画面右上に大きな「記録」ボタンがある版では、そこを押すと、いま選んでいるスライドから始まります。1枚目から録るつもりで押すと、途中のスライドから始まることになるので、どのスライドを選んだ状態で押すかを見ておきます。
自分がどちらなのかは、スライドを見れば分かります。右下にスピーカーの印がなければ、これから入れる側です。印があるなら、上書きする側です。どのスライドの記録に触るのかを決めてから、ボタンを押すことになります。
元ファイルのコピーを残してから、1枚ずつ録る
録り始める前に、声の入っていないファイルを1つ別に残しておきます。「名前を付けて保存」で「講座資料_録音用」のように名前を変えて保存し、以後はそちらで録ります。元の「講座資料」には触れません。手順はこれだけですが、録る前に済ませておくかどうかで、あとの気楽さが変わります。
理由は、録った声がスライドの中に入るからです。PowerPointの記録は、音声を別のファイルに書き出すのではなく、スライド1枚ごとに音声を埋め込みます。見出し1で触れた右下のスピーカーの印が、その目印です。埋め込んだまま上書き保存すると、そのファイルは声つきの資料になり、声なしの状態には戻れません。上書きしたあとに戻せるのは、PowerPointを閉じないうちの取り消しや、OneDriveのバージョン履歴が残っている場合に限られます。解説サイトでも、録画の前にファイルをコピーしてバックアップするよう勧められています。
声なしのファイルを残す意味は、失敗したときの保険だけではありません。配布資料としてPDFにするとき、来期に内容を直して録り直すとき、開くのはこちらです。音声が入った資料は、声の分だけ重くなります。動画に書き出したあとも元のファイルは残しておくとよい、というのが、録画の解説記事に共通するアドバイスです。
コピーを開いたら、1枚ずつ録ります。流れは、この繰り返しです。
- 録るスライドを画面に出す
- 「現在のスライドから」で記録を始める
- 話し終えたら、次のスライドに進まずに停止する(キーボードのSキーでも止まります)
- 記録画面を閉じて、上書き保存する
- 次のスライドを出して、1に戻る
10枚なら10回です。回数は多く見えますが、1回は話す時間の分だけで終わり、言い直しも1枚分で済みます。
気をつけたいのは3と4です。話し終えて次へ進むと、見出し2で書いたとおり、次のスライドの記録がそのまま始まります。「停止してから閉じる」を1枚ごとに守ります。4の保存は数枚ごとでもかまいませんが、PowerPointが固まったときに失うのが直前の数枚で済むので、こまめに押しておくと安心です。
録った1枚は、その場で聞き直せます。右下のスピーカーの印をクリックすると、その1枚の声だけが流れます。言い間違いに気づいても、あとからそのスライドだけを上書きできるので、止まらずに次のスライドへ進んでかまいません。
録り終えたとき、フォルダには「講座資料」と「講座資料_録音用」の2つが並びます。直すのは録音用、配るのは元のほう、と分けておけば、次に開くときにどちらか迷いません。
途中の1枚だけ録り直す手順
直したい1枚を画面に出し、「現在のスライドから」で録り直して、話し終えたら次へ進まずに止めます。前の声を先に消す操作は要りません。同じスライドで記録を始めると、PowerPointがその1枚の古い声を消してから、新しい声を入れます。前後のスライドの声には触れません。
手順は、次のとおりです。
- 録音用のファイルを開き、左のサムネイル一覧で直したい1枚を選ぶ
- 「記録」タブ、または「スライドショー」タブの記録ボタンの下半分から「現在のスライドから」を選ぶ
- 記録画面が開いたら、記録開始のボタンを押し、一呼吸置いてから話し始める
- 話し終えたら、次のスライドへ進まずに停止する
- その場で再生して、声を聞き直す
- 問題がなければEscキーで記録画面を閉じ、上書き保存する
3で一呼吸置くのは、PowerPointがスライドの切り替え中には声を記録しないためです。開始の直後に話し始めると、最初のひと言が欠けることがあります。
5の聞き直しは、版によって場所が違います。「記録」タブから開く新しい記録画面では、画面中央の再生ボタンで、閉じる前にその1枚の声だけを確かめられます。「スライドショー」タブから開く従来の画面なら、閉じたあとにスライド右下のスピーカーの印をクリックします。言い直したいときは、同じ1枚でもう一度録れば、また上書きされます。
新しい記録画面には「削除」のボタンもあります。録った声をその場で消して、同じ1枚を録り直すためのものです。気をつけたいのは、消す範囲を選ぶ場面です。「現在のスライド」と「すべてのスライド」が並んでいて、後者を選ぶと、残したかったスライドの声まで消えます。上書きで直せるので、1枚だけ直すときは削除を使わずに進めるほうが迷いません。
上書きした古い声は、あとから戻せません。前の言い方のほうがよかった、となりそうなら、録り直す前に録音用のファイルをもう1つ複製しておくと、聞き比べられます。
直したいスライドが2枚以上あるときは、この手順を1枚ずつ繰り返します。3枚目と4枚目のように続いている場合は、3枚目から録り始めて4枚目へ進み、4枚目を話し終えたところで止める方法もあります。ただし、5枚目へ進んだ時点で5枚目の記録が始まるので、止める場所を先に決めておきます。
録り直した1枚を単体で聞いて問題がなくても、前のスライドから続けて流すと、声の大きさや話し始めの間が変わっていることがあります。
直したあと、前後の音と切り替えがつながるか確かめる
録り直した1枚は、1つ前のスライドから1つ後ろのスライドまで、続けて流して確かめます。単体で聞いて問題がなくても、前後とつなげて初めて気づく違いがあるためです。聞き比べるのは、声の大きさ、話し始めの間、切り替えの秒数の3つです。
流し方は、次のとおりです。
- 左のサムネイル一覧で、録り直したスライドの1つ前を選ぶ
- 「スライドショー」タブの「タイミングを使用」にチェックが入っているか見る
- 「現在のスライドから」でスライドショーを始める
- 手を触れずに、録り直したスライドの1つ後ろまで流す
2のチェックが外れていると、記録した秒数で自動に進まず、クリックするまで同じスライドで止まります。これでは、切り替えの具合が確かめられません。
1つ目の声の大きさは、つなぎ目で比べます。前のスライドから録り直したスライドに移ったとき、声が急に大きくなったり、遠くなったりしていないか。録った日が違うと、マイクとの距離や部屋の響きが変わり、同じ人の声でも聞こえ方が変わります。イヤホンで聞くと、パソコンのスピーカーでは気づきにくい差も拾えます。
2つ目は、話し始めの間です。前後のスライドは切り替わってから一呼吸置いて話し始めているのに、録り直したスライドだけ間が長い。あるいは、切り替わった瞬間に声が出ている。こうした差は、1枚ずつ聞いていると分かりません。
3つ目は、切り替えの秒数です。「表示」タブの「スライド一覧」を開くと、各スライドの下に記録された秒数が並びます。録り直したスライドの秒数が、声の長さと合っているかを見ます。秒数が声より短いと、話の途中で次のスライドへ進みます。長すぎると、話し終えたあとも画面が止まったままになります。流したときに、話の終わりと切り替えが近ければ問題ありません。
録り直したスライドの前後も、1枚ずつ聞いておきます。録り直したスライドの終わりと、その次のスライドの始まりがつながっているかは、そこまで流さないと分からないからです。反対に、離れたスライドまで聞き直す必要はありません。1枚の録り直しで変わるのは、その1枚の記録だけです。
3つのどれかがずれていても、すべてが録り直しになるわけではありません。声が途中で切れている、言い間違いが残っている、という場合は、その1枚を録り直します。音量の差や、声の前後の余分な間は、PowerPointの中か、動画にしてから整えられることがあります。
PowerPointの中で直せるものと、動画にしてから直すもの
録り直した1枚を前後とつなげて確認したら、気になる部分はまずPowerPointの中で直します。言い間違い、声の途中切れ、1枚だけ長く空いた間は、動画にする前のほうが直す場所を見つけやすいためです。PowerPointで聞いて問題がなければ、別のソフトを使わず、そのまま動画に出してかまいません。
言い間違いや声の途中切れは、その1枚を録り直します。録り直すほどではないものなら、スライド右下のスピーカーの印を選び、「再生」タブを開きます。Microsoftの案内では、ここで音声の前後を切る、音量を変える、音の入りと終わりを少しずつ変える操作ができます。
話し始めるまでの無音が長い場合は、「オーディオのトリミング」で緑の印を右へ動かします。話し終えたあとの無音なら、赤い印を左へ動かします。動かしすぎると最初の音や語尾まで切れるので、再生しながら少しずつ位置を決めます。前のスライドと比べて声が大きい、または小さい場合は、「音量」でその1枚の聞こえ方を変えられます。
ただし、PowerPointの音量は、低・中・高のように段階で選ぶ調整です。隣のスライドと声の大きさを細かくそろえたり、録った日ごとのばらつきをまとめて整えたりする用途には向きません。前後の音を重ねて波形を見ながら切る操作も、PowerPointの中ではできることが限られます。
こうした細かな調整が残ったときは、いったん動画に出してから整える方法があります。PowerPointは、スライドごとの声、記録した秒数、アニメーションや切り替えを含めて、1本のMP4に書き出せます。動画編集ソフトで開けば、最初から最後まで続けて見ながら、音量の差や余分な間を直せます。
ここで分けておきたいのは、説明の中身と、聞こえ方です。言い間違い、数字の誤り、スライドと声の食い違いは、PowerPointへ戻って直します。動画だけを切って済ませると、元の録音用ファイルには誤りが残るからです。音量や短い間など、話の内容を変えない調整だけを動画側へ回します。
動画に出す前に、録音用のファイルを上書き保存しておきます。動画を書き出したあとでスライドや声を直すと、MP4を作り直し、動画側の調整もやり直すことになります。話の中身をPowerPointで固めてから動画にすれば、同じ作業を繰り返さずに済みます。
動画側で直すほどの差がなければ、その工程は要りません。PowerPointのスライドショーで前後が自然につながっていれば、次はMP4に書き出し、実際の動画を再生して確かめます。
動画に出して、別の再生ソフトで一度見る
書き出したMP4は、PowerPointの中で再生するだけで終わらせず、別の再生ソフトで最初から最後まで一度見ます。講座を受ける人が見るのはPowerPointのファイルではなく、書き出したあとの動画だからです。Windowsに入っているメディア プレーヤーなどで再生できれば、専用のソフトを用意する必要はありません。
動画に出すときは、録音用のファイルを保存してから、「ファイル」「エクスポート」「ビデオの作成」の順に開きます。記録した声とスライドの秒数を使うため、「記録されたタイミングとナレーションを使用する」が選ばれているかを見ます。保存する形式はMPEG-4ビデオを選び、ファイル名を付けて保存します。
保存を押しても、すぐに動画が完成するわけではありません。PowerPointの画面下に進み具合が表示されるので、書き出しが終わるまで待ちます。書き出し中のMP4を開くと、最後まで再生できないことがあります。表示が消えてから、保存したフォルダのMP4をダブルクリックします。
確認するのは、次の4つです。
- 1枚目から声が入っているか
- 録り直したスライドの声が、新しい内容に変わっているか
- 話し終わる前に次のスライドへ進んでいないか
- 最後のスライドまで映像と声が止まらずに流れるか
録り直したスライドは、1つ前から1つ後ろまで続けて再生します。PowerPointの中で確かめたときと同じように、声の大きさ、話し始めの間、スライドが切り替わる位置を見ます。ただし、ここでは1枚ずつではなく、1本の動画として見たときに途中で引っかからないかを確かめます。
すべてのスライドが同じ秒数で進む、録ったはずの声が入っていない、という場合は、書き出すときの設定を見直します。「記録されたタイミングとナレーションを使用しない」を選ぶと、記録した秒数を使わず、各スライドが同じ時間で進みます。PowerPointの録音用ファイルを直す前に、この設定で書き出していなかったかを確かめます。
言い間違いや声の途中切れが見つかったら、MP4だけを直すのではなく、録音用のPowerPointへ戻ります。該当する1枚を録り直し、上書き保存してから、もう一度MP4に書き出します。動画を作り直したら、直した場所だけでなく、最初から最後まで流します。別の場所で止まったり、声が抜けたりしていないことまで確認できれば、そのMP4が講座で使う完成版です。
まとめ
PowerPointの録画はスライドごとに保存されるので、途中で言い間違えても、最初から全部を録り直す必要はありません。「現在のスライドから」を選び、直したい1枚だけを録り直せます。
- 声を入れる前に、元ファイルのコピーを残す
- 録り直すスライドを選び、次へ進まずに停止する
- 直したあとは、前後の声の大きさ、話し始めの間、切り替わる秒数を確かめる
音声の前後や大まかな音量は、PowerPointの中で整えられます。細かな調整が必要なときだけ、MP4にしてから動画側で直します。最後は、書き出したMP4を別の再生ソフトで最初から最後まで流し、声や映像が抜けていないことを確認します。
これから1枚ずつ録る場合は、声の入っていない元ファイルを残し、コピーした録音用のファイルから始めるとよいでしょう。

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